大分県への要望書提出と担当部署との懇談
10月30日に、私たちの会として大分県に要望書を提出し、環境保全課、森林保全課、新産業振興室の課長・室長らと懇談しました。
懇談で、(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業では、関西電力が県知事意見を無視して、住民に分断を持ち込み、低周波音被害を全面否認する言動を継続し、大臣勧告について住民に説明しないなど、不誠実にゴリ押しする態度をとってることや、関西電力が地域の有力者を取り込み、反対住民に圧力をかけている実態を訴えました。
県側は、許認可権は国にあり、県には権限がないとし、明言を避けながら、事業者には住民とのコミュニケーションをとるように指導していると発言しました。
提出した要望書は以下の通りです。
2020年10月30日
風力発電を考える会・おおいた
代表 花宮幾雄
県内で計画されている風力発電事業に対する要望書
大分県におかれましては、県民の暮らしと福祉の向上等のために、日々ご尽力いただいていることに感謝を申し上げます。
さて、大分県内各地において、風力発電事業の計画がすすめられています。大分市と臼杵市に位置する佐賀関半島の尾根には、コスモパワー(株)・関西電力(株)2社の風力発電計画が事業着手に向けて動いています。続いて《仮称》四浦半島風力発電事業(4.3MW×15基=総出力64.5MW)、今年に入り臼杵市・津久見市・佐伯市に隣接する《仮称》彦岳風力発電事業(5.5MW×31基=総出力170.5MW)と《仮称》大分南風力発電事業(4.2MW×18基=総出力75.6MW)の計画が発表され、縦覧に付されました。今後、環境影響評価などをおこなうこととなります。
これまで、風力発電事業による低周波音による健康被害、森林伐採による環境破壊、希少生物への影響などが全国的に問題となっています。県内でも同様な不安と懸念の声が寄せられています。
こうしたことから、さる8月22日、大分市、臼杵市、津久見市、佐伯市の住民らにより、「風力発電を考える会・おおいた」が結成されました。
今後、私たちの「会」は、周辺住民の生活となりわい、健康を守ること。森林・希少生物等の環境保全などの立場から、風力発電事業の在り方について、提言・要望をしていきたいと考えています。つきましては、当面下記事項について要望いたします。
記
1、事業者に対し、それどれの事業段階において、周辺住民(利害関係者)などに丁寧な事前説明会を実施すること。住民の意見・質問には誠意をもって対応するよう要請すること。
2、大分県として事業者と、風力発電事業計画予定地域周辺住民の生活環境保全のために、環境保全協定を締結すること。
3、(仮称)大分・臼杵ウインドファーム事業については、経済産業大臣勧告実施後の全住民を対象にした説明会を実施すること。住民の十分な納得と合意が得られない場合は、強引な事業着手はしないよう要請すること。
以上
結成総会のご報告
ご報告が遅くなりましたが、8月22日、「風力発電を考える会おおいた」の結成総会を開催しました。
記念講演として、高島拓哉大分大教授(地域社会学)が、汐見文隆医師による低周波振動についての研究を紹介しながら、風力発電による低周波振動被害の諸問題を説明しました。
その後、結成総会にうつり、準備会としての活動の経過や、佐賀関地区などに建設予定の関西電力の説明抜きのごり押し姿勢について、住民が怒りを持っていることが参加者から発言があったほか、今後の活動方針についても論議しました。
共同代表に、高島拓哉氏(内定)と花宮幾雄氏、事務局長に植田謙一氏を選任したほか、建設計画のある地域住民などからなる世話人会を選出しました。
高島氏による記念講演の予稿は長くなりますのでエントリを改めます。
記念講演する高島拓哉大分大教授
ソーシャルディスタンスと換気に配慮しました。
低周波振動を開設するときの板書
低周波振動を感じるかどうかの個人差の原因の一つに音認識のあり方の個人差がある
低周波振動への感度の違いにより住民が分断される
チラシ第2弾の配布を大分市佐賀関地区で始めました。
結成総会&記念講演会を開催します。
関西電力による「(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業」の地元同意がヤマ場ということで、私たちは仮称の準備会のまま活動を始めました。
3月末に結成総会を開く予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために延期し、このたび結成総会を開くことにしました。
もちろん、新型コロナの感染状況は日々、変化するもので力による「(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業」の地元同意がヤマ場ということで、私たちは仮称の準備会のまま活動を始めました。
3月末に結成総会を開く予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために延期し、このたび結成総会を開くことにしました。
もちろん、新型コロナの感染状況は日々、変化するものですから状況を注視していきますが、今のところ、会場定員の3割程度を参加の上限と考えています。
日時 8月22日13:30~
会場 臼杵市民会館(〒875-0041 臼杵市臼杵72番83)
第1部 記念講演「風力発電事業と私たちの暮らし」講師:高島拓哉大分大学教授(地域社会学)
第2部 結成総会(経過報告・運動方針・役員の選出)
新型コロナ感染拡大の影響で延期になっていた結成総会を記念講演会とともに開催いたします。
3密を避けるため、定員200人の会場で入場者を最大60人に制限させていただきます。
大分市佐賀関地区~臼杵市の尾根には、関西電力、コスモパワー2社の風力発電計画が事業着手されようとしています。
続いて、臼杵市~津久見市の「(仮称)四浦半島風力発電事業」(総出力6.5万w・15基)「(仮称)彦岳風力発電事業」(総出力17万kw・31基)、臼杵市野津~佐伯市本匠・弥生の「(仮称)大分南風力発電事業」(総出力7.6万kw・18基)の計画が発表されています。
低周波振動による健康被害やアノイアンス、森林伐採による環境破壊、各種生物への影響などが各地で問題になっています。大分県全域での風力発電事業について考え行動する会を結成します。
大分県の風力発電についてご一緒に考えてみませんか。
関西電力風力発電事業への経産大臣勧告と大分県知事意見の厳しい内容【環境影響評価準備書】
関西電力による「(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業」(大分市佐賀関地区〜臼杵市で計画)についての環境影響評価準備書への経済産業大臣勧告が2020(令和2)年5月22日付で出ました。
かなり厳しい内容になっています。
勧告にそって、事業者の関西電力は環境影響評価書(環境アセスメント)の作成をしなければなりません。勧告に沿わない内容の評価書が経産省に提出された場合、経産省は事業者に再作成を命じるという、強い効果を持っているのが大臣勧告です。
勧告後も関電は大分市佐賀関地区で説明会などを行っていますが、経産大臣勧告や、そのもとになっている大分県知事意見(2020.1.24)や環境大臣意見については言及せず、「問題ない」「大丈夫」といった、まともな説明抜きの各種の危険性の全面否定を繰り返しています。
経産大臣あての大分県知事の意見
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2069965.pdf
大臣勧告は、いくつかの追加の環境保全措置・対策を求めています。
騒音対策については
関電の環境影響評価準備書では、「風力発電施設から発生する騒音に関する指針について」(平成 29 年5月環境省)に基づく指針値を超過している地点がある、と指摘しています。
具体的には「静穏な環境を有している地域」では、残留騒音が「学校や病院等の施設があり特に静穏を要する場合」に35㏈、それ以外で40㏈を下回るとする指針値を設けています。関電が示す残留騒音のシミュレーションではいずれもこれを超過している、と経産大臣勧告はしています。(経産大臣勧告は、環境大臣意見を踏まえています)
その他に大臣勧告が求めた追加対策には
(1)バードストライク対策 再調査や専門家の意見を踏まえて行う
(2)建設工事での切土量及び盛土量を可能な限り少量化すること
とがあります、
いずれも重大な環境破壊の懸念に環境影響評価準備書がじゅうぶんに応えていないことを指摘しています。
さらに、隣接する(仮称)大分ウィンドファーム事業(事業者:コスモエコパワー[コスモ石油系])と一体となったときの累積的な影響を考慮する必要を指摘しています。
私たちも、大臣勧告を読むまで風車の騒音についての環境省指針を理解できていなく
て、大臣勧告を読んで初めて理解したわけですが、それでも環境省指針そのものは十分なものとは思えません。*1
しかし、関電の環境アセスメントではその不十分な指針値すら超過するという指摘を経産省・環境省はしたわけです。しかも、関電は国からこのような指摘を受けたことやその対策を住民に説明することなく、住民の同意を取り付けようとしています。
経産大臣勧告は大分県知事意見を添付すると関電に通知しています。
大分県知事意見は、大臣勧告よりもずっと踏み込んだ内容のものでした。
令和2年1月24日知事意見 https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2069965.pdf
知事意見の総論は
第1に
住民等から、音・超低周波音、景観等の環境面や、土砂災害の誘発等の災害面で、事業への不安視や反対の意見が寄せられているだけでなく、事業者からの説明が十分に行われていないとの意見も寄せられているとし、関電に誠実な対応を求めています。
第2に
重大な環境影響を回避・低減できない場合は、風車の配置の再検討や事業規模の縮小をもするべきだとしています。
また各論の(9)その他では
準備書での評価の結果について、全般的に曖昧で抽象的・画一的な表現が多い、と指摘し、評価書では、検討の経緯や先行事例等の知見を踏まえた考察を含む具体性のある内容となるよう、表現を見直すべきだとしています。
各論では
(1)騒音・超低周波音
・残留騒音の値が環境騒音(等価騒音レベル)の値(環境省指針値)を超えている
・工事の際の輸送車両の騒音に言及がない
・風車の最大騒音を評価書には記載ずべき
(2)水環境
・2017年台風18号のときの佐賀関地区での降水量が60mm/hを超えていたことが踏まえられていない
・工事中や施設稼働などの尾根の環境変化により小規模河川や水たまりでの生物環境の変化への必要な対策を
(3)風車の影
・人によって感じ方が違うのだから、住民へのヒアリングや詳細な調査を行い、その結果を住民に十分に説明して評価書に記載を
・環境への影響の大きい、気象条件や季節や時間帯には一部の風車の稼働を停止することも検討を
・環境への影響が回避・低減できない場合、風車の配置や事業規模の縮小も検討を
(4)地形・地質
・風車の基礎が盛土部分となっている箇所がある
・地形の改変についての情報は可能な限り評価書に記載する
(5)動物・植物・生態系
・動物への影響は小さいとしているが、科学的知見にてらすと不適切
・尾根部の森林などの伐採を最小限に抑え、影響を低減する対策を
・重要な植物種の確認状況について、実際の確認位置が正確に示されていない
・改変区域から十分な距離を確保したうえで周辺植生を残すなど、具体的な環境保全措置を検討・記載すること
・重要な植物種の生育地の改変を行う場合は、必要に応じて移植などの代償措置を講ずじ、事後調査を実施すること
・造成により生じた裸地部の緑化を行う場合は、在来種で行い、外来種を用いないこと
・有害鳥獣のイノシシやシカが広範囲で確認されているため、改変面積及び改変率を最小化し、改変区域周辺の植生の保存に努めること
(6)景観
・事業実施区域は、樅の木山から連なった稜線に位置し、景観特性を構成する主要な稜線軸となっており、周辺の集落や幹線道路及び市街地からの眺望景観への配慮が求められるのに、主要な眺望点だけでしか評価がなされていない
・隣接の(仮称)大分ウィンドファーム事業は九六位山の稜線付近で進められており、一団となった眺望や色調の統一などに配慮が必要
・調査地点を追加しフォトモンタージュを作成し、住民への十分な説明に努め、検討した全ての景観調査地点の情報等を、評価書に記載すること
・環境への影響が回避・低減できない場合、風車の配置や事業規模の縮小も検討を
(7)人と自然との触れ合い活動の場
・樅の木山セラピーロードでの、大きなイベント等の開催時には、工事中の交通への影響等の低減だけでなく、当該期間中の工事の自粛等を検討すること。施設の稼働後においては、風車の稼働を制限する等の環境保全措置を検討すること
(8)廃棄物等
・工事に伴う廃棄物や残土の発生の抑制・再利用等に努め、残土の場内処理にあたっては、仮置き時を含め、水質汚濁や災害発生等の影響が生じないような措置を講ずること
大分市佐賀関地区にチラシ配布を始めました
関西電力による(仮称)大分ウィンドファーム事業についての問題提起のチラシを作成し、ポスティングによる配布を始めました。
チラシの全体は以下です。(紙媒体で印刷されているものはモノクロです)
地図と文字の部分を以下に掲載します。
風力発電事業(佐賀関半島)
周辺住民の納得と合意なき計画は中止を!
風車のいっそうの大規模化は被害拡大、
まず住民の疑問に答えよ!
大分・臼杵ウインドファーム 関西電力(株)
変更内容 2000kw×13基 ⇒3600Kw×1基、3200Kw×7基
住民
●佐志生目明地区では9割の住民が反対。
●一尺屋地区では反対意見の人に地域有力者が訪問し「なぜ反対」と詰められ、自由な意思表明が阻害されているとの声。一部地域では反対署名が過半数以上(地権者も含め)に。
●大志生木地区では、自治区総会前に関西電力の説明をうけ、態度表明の意向。
●木佐上地区では、自治会総会議案の中に風力発電議案も含まれ議決。風力発電議案は別に住民の意思を求めるべきだとの意見も寄せられています。
事業者
●佐志生地区住民には、「地域を分断することは避けたい」などとの理由で5基の建設を断念したと説明。また「風車の調達が困難になった」とも説明。しかし一尺屋・大志生木地区住民などには、いまだ計画変更(案)の説明はない。
大分ウインドファーム コスモエコパワー(株)
変更内容 2000kw×11基 ⇒3200kw×5基(総計16000Kwへ)
住民
●木田地区では地権者2つの組合が建設に反対。覚書内容に疑問ありとの相談が寄せられています。
事業者
●計画変更(案)について、説明会未実施地域について説明会を求めたが、計画が確定していないとの理由で説明会は実施していない。
一方で地権者・自治会などへの覚書(5月末)と急ぎ、11月工事着手を予定。
私たちの提案
★事業者は、大企業の社会的責任を
1、計画変更(案)について、周辺住民に事前 説明会を
2、住民からの疑問・質問については、丁寧な 対応を
3、周辺住民の納得・合意を最優先に
住民の不安・心配のこえ・こえ
健康被害はないとというが、他地域では深刻な被害の訴えも
○風車から一番近い家屋は、大志生木で0.8km、一尺屋で1km、和歌山などでは、低周波音による不眠・イライラ・めまい・吐き気・耳鳴りなどの心身の不調を訴える人がでるなど、問題になっています。
○「水源かん養保安林」の森 林伐採による環境破壊
○建設工事による騒音・粉塵・振動など日常生活への影響。
○クマタカ、ムササビなど希少生物の絶滅の危機。
○土砂崩れ・鉄砲水、有害鳥獣の増加などの不安・懸念の声があがっています。
ご意見・ご要望をお寄せ下さい。
風力発電を考えるDVDの貸出しも行っています。
※私たちが学習会で用いたことのある「風力発電の被害を考える会わかやま」作成のDVDと同じ動画がYouTubeでも公開されています。
(仮称)大分南風力発電事業(臼杵市野津~佐伯市本匠・弥生)環境影響配慮書を読む
「(仮称)大分南風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」が4月28日から6月3日まで縦覧されています。インターネットエクスプローラーと純正のacrobat readerでないとみることができません。
前の「(仮称)彦岳風力発電事業」と同じように解説します。
発電所出力最大75,600kw
単機出力最大4,200kw
最大18基
「配慮書」が何が言いたいかは、最後のほうの「総合的な評価」だけ読めばわかります。
風力発電施設建設の影響をいろいろ書いていて勉強になるのですが、結論は右に示す事項に留意することにより、重大な影響を回避または低減できる可能性が高い」ということです。対策すれば影響は大したことにはならない、という結論です。
特に騒音や低周波音(低周波振動)について、風車から2.0km以内のことしか検討されていません。これは環境省やその検討会が、2.0km以上のことについて「わからない」ことをあたかも被害がないかのように記述しているせいです。
特に低周波振動についてはもっと遠くの地点での被害の訴えがいくつも出されています。
総合的な評価で気になる部分があったら、要約版のその部分を読んでみればいいと思います。
あとは要約版の図表を見て気になるものをチェックしていきます。
風力発電機の輸送ルートというのは、基本的に工事車両が通る道路です。工事が大規模になれば工事車両は増えます。幹線道路から風車予定地までの道路整備で森林伐採や土壌破壊も広くなされる、ということです。
風車建設予定地の近くにこういうものがある、という地図も掲載されています。
事業者に提出する意見書には、難しいことを書く必要はありません。ひとことでもご自分の素直な思いを書けばいいのです。
それにしても、いまどき意見書をメールで送ることができないなんて……
(仮称)大分南風力発電事業に係る計画段階環境影響配慮書 要約版 メモ
p3
発電所出力最大75,600kw
単機出力最大4,200kw
最大18基
p4 地図
p17
定格出力4,200kw
ローター直径110〜120m
ハブ高さ80〜90m
高さ130〜145m
p20 風力発電機の輸送ルート(案)
p33 配慮の必要な施設等の配置
p34 配慮の必要な施設等との位置関係(0.5km刻み)
総合的な評価
いずれの項目においても
「右に示す事項に留意することにより、重大な影響を回避または低減できる可能性が高い」と結論