大分県の風力発電を考える

風力発電を考える会おおいたのブログです。

環境影響評価書を読む(3) おざなりな景観への影響評価

(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業の環境影響評価書で、大分臼杵風力発電合同会社関西電力子会社)は、あまり根拠をあげずに「影響はない」と評価している。

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大分県知事意見を踏まえて、景観調査地点を増やし、フォトモンタージュを作成したものが評価書には掲載されている。

いくつかの地点で、とても影響が小さいとは言えないのではないか、と思われる。

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そこで、関電が参照したという「風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(環境省 2011)を読んだ。私たち素人には、すごく難解な文書である。

https://www.env.go.jp/press/13643.html

引用されているところは26ページにあるのだが、31ページには、これとは別に「スケール比・シルエット比」という、景観指標が解説されている。

https://www.env.go.jp/press/files/jp/17236.pdf

スケール比とは、「構造物等の高さ/視点からの眺望の背景となる山稜の高さ」のことで、

「法高/背景の高さ が0.2~0.3を越えると『切り土面が背景に対して大きい』という評価が得られはじめ、法面底辺の高さ/背景の高さ=0.35~0.45を越えると不安定感が増すとされる」

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もともと、この国立公園などでの送電鉄塔についてのガイドライン風力発電にも応用したもので、標高300〜500mの尾根に120mの風車を建てることなど想定されていないものだが、それでも応用できる。この指標を応用すれば、景観への影響度をかなり数値化できるもので、フォトモンタージュを見る限り、素人目には0.2を超えるところもあるように見える。違和感を数値化しようとしたものなので、フォトモンタージュで違和感を持つものが高い数値を示すのは当然だ。

フォトモンタージュでは、背景の空の色に紛れてたり、写真ではそれほどでもないように思えても、現地に行ったことがある目で現地を想像してみると、フォトモンタージュで見るよりずっと違和感は強いように思う。

関電が何を根拠に景観への影響は小さいと評価したのかは、評価書を見る限り、まったく不明だ。関電が引用した「垂直見込角に応じた対象の見え方」(20ページ)でも「垂直見込角が1~2°を超えると景観的に気になり出す可能性があるとされる。」とあり、垂直視野角が1〜3°である地点で何をもって影響が小さいとする根拠は何も示されていない。

影響低減の方策として、「技術的ガイドライン」が示す対策をコピペしているが、それで低減できている根拠も示されていない。

「技術的ガイドライン」は、は、関係主体(有識者、地域住民、関係行政機関等)の合意形成を各段階で資料を示して行うことを繰り返すのうに求めている。環境影響評価書は、今後の説明・合意形成の基礎資料であり、ここで景観について、国のガイドラインにも沿っていないことは、今後、関電がその説明を付加して合意形成せねばならないことを意味する。