大分県の風力発電を考える

風力発電を考える会おおいたのブログです。

大分市への要望書の提出と環境対策課との懇談

ご報告が遅れましたが、2020年11月27日に、大分市に要望書を提出し、意見交換を行いました。環境部長と環境対策課が応対してくださいました。

要望書を読み上げ、提出した後、参加した会員から質問や意見を述べ、大分市側が回答する、という形で行われました。

大分市は、環境への悪影響を懸念しているとして、2019年に大分県に提出した市の意見では、かなり踏み込んだ意見を出したことを説明しました。(大分市意見書は、花宮幾雄共同代表が開示手続きをとって開示を受けました。

大分市には、風力発電関連の許認可にかかわる権限がないことや、そのために情報をあまり持っていないことが述べられましたほか、環境破壊や住民とのコミュニケーションなどについては、事業者・関西電力に必要な要請は行うと大分市は言明しました。

 大分県との意見交換で得た情報については情報提供も行いました。(環境対策課は森林法関係の情報を持っていないなど)

 基礎的自治体としてのかかわり方も模索ししていることにも言及され、市としての関電との環境保全協定の締結には否定的な態度表明をしながら、地域と関電とで協定を結ぶことになっていると聞いている、としました。協定締結の主体となる「地域」とはどの地域団体のことなのか明確にしてほしい、と私たちが要望すると、調査を約束しました。

 

f:id:thinkwindpoweroita:20210123233257j:plain

要望書を環境部長に手渡す

大分市への要望書は以下の通りです。

 

2020年11月27日
大分市長 佐藤樹一郎様
風力発電を考える会・おおいた  共同代表 花宮幾雄

風力発電事業計画に関する要望書

地域住民の暮しと福祉の向上等のために、日々ご尽力いただいていることに感謝を申し上げます。 さて、大分市臼杵市に位置する佐賀関半島の尾根には、(仮称)大分ウインドファーム事業計画 がコスモパワー(株)、(仮称)大分・臼杵ウインドファーム事業計画が、関西電力(株)によって進 められています。
これまで隣接地域である佐賀関地区などで実施した「風力発電を考える」つどいでは、風力発電 事業による生活となりわいへの影響、低周波音による健康被害森林伐採による環境破壊、希少生 物への影響などを危惧する声が多数寄せられています。
また関西電力(株)は、環境影響評価準備書に対する経済産業大臣勧告(騒音・土地の改変、鳥類に 対する影響)を受けた措置が取り組まれています。
しかしこれまでの関係住民等への説明が不十分で、事業者の誠意のない対応に批判の声が寄せら れています。なによりも地元住民等への十分な説明、納得と合意のもとで、事業は進めるべきです。 よって、下記事項について要望します。

1、事業者に対し、それどれの事業段階において、周辺住民(利害関係者)などに丁寧な事前説明会を実施すること。住民の意見・質問には誠意をもって対応するよう要請すること。

2、大分市として事業者と、風力発電事業計画予定地域周辺住民の生活環境保全のために、環境保全協定を締結すること。

3、(仮称)大分・臼杵ウインドファーム事業については、経済産業大臣勧告実施後の全住民を対象にした説明会を実施すること。住民の十分な納得と合意が得られない場合は、強引な事業着手 はしないよう要請すること。


以上

 

以下は、花宮幾雄共同代表が大分市から事務開示された、大分県知事への大分市長の意見(2019年)です。

 

(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業に係る環境影響評価準備書に対する意見


大気環境について
同時期に対象事業実施区域周辺で他事業者の風力発電事業が予定されており、本事 業との複合的・累積的影響が懸念されるため、工事期間中は、大気質、騒音及び振動 について継続的にモニタリングを実施して現況を把握し、近隣住民の生活環境への影 響が懸念される場合には、追加的な環境保全措置を講じること。
風力発電施設の稼働に伴う騒音レベルについては、事後調査を実施しないとしてい るが、対象事業実施区域周辺に複数の住居が存在しており、静穏な環境を有している 地域性であることから、施設稼働に伴う騒音による生活環境への影響が懸念される。 このようなことから、周辺住民の生活環境への影響を適正に把握するために、専門家、 周辺住民の意見を踏まえながら、事後調査を実施すること。
この場合における事後調査は、騒音測定に加え、騒音及び低周波騒音に関して周辺 住民への聞き取りを行うこととし、周辺住民から問合せ、苦情等が寄せられた場合は、 速やかに状況を把握し、適切な対応を講じること。
環境影響の程度が著しいことが明らかとなった場合の対応の方針については、環境 保全措置に施設の稼働制限を加えること。

水環境について
工事の実施に係る沈砂池等の濁水対策は、降雨条件を40mm/h で予測・評価している が、2017年の台風18号時において佐賀関地区では60mm/hを超える降雨量を観測して いることを踏まえ、近年増加傾向にある集中豪雨を考慮した機能的な設計とすること。
本事業に加え、他事業者による風力発電事業が隣接して計画されており、対象事業 実施区域及び周辺の尾根部が広域に渡って改変される。このため、地表水の流向変化 が懸念されることから、改変面積の最小化を図ること。
工事中及び施設稼働後においても周辺河川や水生生物等の状況を把握し、近隣住民 の生活環境への影響が懸念される場合には、追加的な環境保全措置を講じること。
周辺住民から問合せ、苦情等が寄せられた場合は、速やかに状況を把握し、適切な 対応を講じること。

風車の影について
風車の影による影響は、環境保全措置を講じることにより実行可能な範囲内で低減 が図られているとしているが、一部集落では民家に影が及ぶ可能性があることから、 問合せ、苦情等が寄せられた場合は、速やかに状況を把握し、適切な対応を講じること。

動植物及び生態系について

バードストライク及びバットストライクに関して、稼働後1年間事後調査を実施するとしているが「猛禽類保護の進め方 (改訂版)」(H24年12月 環境省)で「保全措 置の効果を検証するために、工事実施前のみならず工事実施期間及び完了後数年間、 繁殖状況等のモニタリングを行なう。工事の影響を明らかにするためにはできるだけ 長期間の情報を得ることが望ましい」としていることから、専門家の意見を踏まえて 調査の継続の要否を判断し、適切な対応を講じること。また、調査の結果について、 広く一般に公表する方法を検討すること。
稼働による環境影響の程度が著しいことが明らかになった場合には、一時的な稼働 停止も含めて効果的な環境保全措置を講じること。
事後調査の終了後においても日常メンテナンス等での立入時に確認を実施し、状況 の把握に努めて適切な対応を講じること。
対象事業実施区域及びその周辺には、有害鳥獣であるイノシシ等が広範囲に高密度 で生息しており、土木工事や風車据付工事の車両の出入、植生の変化等の影響を受け て移動した個体が近隣集落の生活環境へ影響を与えることが予見されるため、工事及 び施設の稼働が対象事業実施区域内に生息する動物に与える影響について、専門家等 からの助言を踏まえて適切な対応を講じること。
改変部分の緑化については現存植生の再生を基本とし、地域生態系の保全に配慮し た緑化となるよう努めること。重要種の移植を実施した箇所のモニタリングのみでな く、改変区域全体の植生等について事後も含めたモニタリング調査を実施し、保全措 置の効果について検証を行うこと。
土壌に含まれる種子や土壌動物等の移動による生態系への影響を考慮し、工事の実 施に伴い発生する残土の対象事業実施区域外への搬出は行わないこと。
工事及び施設の稼働による動植物への影響を低減するため、改変面積を最小限にと
人と自然の触れ合いの活動の場について
対象事業実施区域内に「樅の木山セラピーロード」の一部が含まれていることから、 稼働後も地域住民からの意見を踏まえて、セラピーロードへの影響を評価するととも に、必要に応じて環境保全措置を講じること。

廃棄物について
事業活動に伴って生じた廃棄物については、出来る限り有価物として有効活用し、 有効活用できないものについては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき適正 に処理すること。

複合的・累積的影響について
同時期に対象事業実施区域周辺で他事業者の風力発電事業が予定されており、本事 業との複合的・累積的影響が懸念されることから、他事業者と情報を共有するなどし て、必要に応じた適切な環境保全措置を講ずること。

景観について
本事業の実施区域は、樅の木山から連なった稜線に位置し、「大分市景観計画」にお いて、本市の景観特性を構成する主要な稜線軸となっており、眺望点候補地のみなら ず、周辺の幹線道路からの眺望景観や集落からの景観と不調和とならないよう配慮す る必要があり、人の視覚特性に近いフォトモンタージュと乖離することがないよう、 眺望景観の影響を回避し、又は極力低減すること。
特に、本事業は、既に西側の九六位山の稜線付近で別の風力発電事業が進んでいる ことから、本事業と別の風力発電事業が一団の眺望となるよう、眺望点候補地からの 眺めや、色調の一体性等に、十分考慮する必要がある。
また、環境影響評価の調査・予測・評価に基づいた環境保全のための措置を確実に 実施するとともに、「大分市景観計画」との整合を図り、景観形成基準を遵守すること。