【学習講演会】気候危機打開 持続可能なエネルギー政策を考える(佐藤洋講師)
学習講演会のご案内
気候危機打開 持続可能なエネルギー政策を考える
8 月27 日(日)13:30~15:00
大分市東部公民館大会議室(大分市日吉町3−1)
講師 佐藤洋さん (日本共産党中央政策委員 気候変動・エネルギー政策担当)
頻発する記録的な豪雨は、 地球温暖化による気候危機が、命とくらしを直接おびやかすところまで来ていることを示しています。
気候危機の打開のために、国連は温室効果ガスの排出量を、2035 年までに60%削減し、2050 年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)にするよう各国にに取り組みの強化を求めています。
CO2 を大量に排出する現在のエネルギー・システムを根本的に変えなくては
はなりません。 そのためには、省エネと再生可能エネルギーの推進が不可欠
です。 自公政権は、原発や石炭火力に依存するエネルギー政策を続けるGX
推進法を維新・国民の協力を得て成立させました。
将来世代に、気候変動の重荷を負わせないためにも、持続可能なエネルギ―
政策について、みなさんと一緒に考えたいと思います。
主催 日本共産党中部地区委員会 / 風力発電を考える会おおいた
【チラシ】関西電力は納得と合意の「公約」を実行せよ
(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業の風車建設予定地に近い地域にチラシの無差別配布を行っています。
いかに、そのテキストと画像を掲載します。
(カラーの画像はチラシではトリミングしてモノクロに変換して印刷しています)
関西電力は納得と合意の「公約」を実行せよ
4月に、(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業についての「環境影響評価書」が縦覧され、臼杵市民会館と坂ノ市公民館の2か所で「評価書」の説明会が行われました。「環境影響評価準備書」からの変更点や事業者の大分臼杵風力発電合同会社(関西電力子会社)や環境影響評価を委託されたKANSOテクノスによる説明についての、私たちの会の見解をお知らせします。
主な変更点
風車の基数は減少(13→8)
風車の大きさは拡大
最大高さ121m→136.5m
風車直径86m→105m
ハブ高さ78m→84m
1基あたり出力
2千㎾→3.6千㎾
盛り土、切土は大幅縮小
「準備書」への経産大臣勧告や大分県知事意見を踏まえて、切り土、盛り土を大幅に縮小し、残土は建設予定地外で処理する、とし、構造物の安全性の改善がはかられています。
「評価書」では、工事用道路として、市道大志生木一尺屋線が追加され、広域農道関臼津線の交通量軽減がはかられていますが、大志生木地区には工事時の負荷が新たにかかることになります。
騒音・低周波音
騒音では、一部で環境省指針の値を超えることを認め、「環境監視を実施し、問題が起きた場合には適切に対応することで、環境保全に努める」としています。
他の場所でも「騒音及び超低周波音については、 聞こえ方等に個人差がある項目であることから、施設の稼働後、 適切に環境監視を行います。 また、その結果、 騒音及び超低周波音による重大な環境影響が懸念される場合には、継続的な環境監視を必要に応じて実施し、 調査結果の蓄積を図るとともに、ホームページ等による公開に努めます。」と表明しています。
評価書は景観評価で「影響はない」と一方的に評価
評価書は景観への「影響がない」と根拠を示すことなく断言しています。
「風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(環境省 2011)では、事業者がていねいにわかりやすく説明し広く関係者間の合意形成を繰り返しはかることとしていいますが、大志生木海岸など観光スポットに影響があり得るのに、観光関係者には意見を聞いていない、と説明会で言っています。
大分知事意見をふまえて、「評価書」ではフォトモンタージュを示していますが、これを見ると明らかに景観に影響はあります。
大志生木地区のフォトモンタージュ(チラシでは見やすくするため、風車の影を濃くしています)
「垂直視野角」(見た目の大きさ)を測定していますが、「影響がない」とする根拠は明文でしめしていません。
「技術的ガイドライン」は「シルエット比」(風車の高さと山の高さの比率)も、景観影響の測定法として紹介していますが、完全に無視しています。説明会で質問が出ると、KANSOテクノスは「ガイドラインに沿っていないところもあるが、国の審査は受けている」と国のお墨付きを得ているかのように開き直りました。
経産省「合意形成へ事業者はていねいな説明と議論を」
経産省電力安全課の担当者は、会の問い合わせに対し「評価書は総合的に評価していて問題ない」としながら「評価の根拠を説明することは議論の基礎」「合意形成のために、ていねいな説明をするように指導している。合意形成を軽んじていいことは何もない」と答えました。
住民とのコミュニケーションによる納得と合意の「公約」の実行を
「評価書」では、県知事意見の総論に対する見解で「住民等及び関係両市と積極的にコミュニケーションを図り、それぞれが抱く不安や懸念等の解消に向け誠実に対応し、本事業の実施に対する理解を得られるように努めます。」と公約しました。その他の項目でも、ていねいに説明することや住民の納得と合意の形成をはかることや、適切な追加措置をとることを多く言明しています。この「公約」を実行しなければ事業認可ができないことを関西電力は知るべきです。
みなさんのご意見やご要望をお寄せください。
経産省に問い合わせしました(環境影響評価書の景観部分について)
8月9日、経産省電力安全課より、(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業(事業者:関西電力子会社)の環境影響評価書の景観部分について電話問い合わせのお答えを督促してようやくいただきました。
以前の会のブログより
https://thinkwindpoweroita.hateblo.jp/entry/2022/04/11/190217
「風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(環境省 2011年)
https://www.env.go.jp/press/13643.html
担当者「技術的ガイドライン」は、国としての技術的なアドバイスをしたもので、関西電力が、フォトモンタージュ法などを用いて、総合的に評価したもの。環境影響評価法の仕組みとしては国の審査は、ガイドラインに沿っていないことを問題にするものではない」
当会事務局長「環境影響評価を行った会社は、『ガイドラインに沿ってない』という質問に対し、それを認めながら『国の審査は受けている』と開き直った。『景観に影響はない』と評価した根拠も示さず、断言してるだけ。丁寧に説明して合意形成をしようという姿勢ではない。人気の海水浴場の景観への影響もフォトモンタージュでは明らかにあるのに、合意形成の範囲に観光業者を含めてもいない。合意形成のない事業は認可しない、ということは大臣が繰り返し答弁してる」
担当者「評価の根拠を説明するのは、議論して合意形成をはかるのに必要なこと。事業者には、丁寧に説明して合意形成をはかるように指導する。これまでもそう指導してきた。指導しても姿勢を改めない事業者もいる。丁寧な合意形成をおろそかにすると事業に不利になるだけ」
担当者が明言したわけではありませんが、関電が、丁寧な合意形成を重視せよという経産省の指導を、事実上無視していることを示唆したものと受け止めました。
4月の環境影響評価書説明会の直後から、経済産業省電力安全課に、関西電力の環境影響評価書が「風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」の景観評価のところをふまえていない、ということについて問い合わせしていました。
お答えまで3ヶ月以上を要した理由は聞きませんでしたが、対応に苦慮したのだと思います。
合意形成をめぐっては、「一尺屋の自然を守る会」の会員さんが、地区の同意決定には手続きに不当があったとして地区を提訴しました。当会は原告を応援します。
環境影響評価書を読む(3) おざなりな景観への影響評価
(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業の環境影響評価書で、大分臼杵風力発電合同会社(関西電力子会社)は、あまり根拠をあげずに「影響はない」と評価している。
大分県知事意見を踏まえて、景観調査地点を増やし、フォトモンタージュを作成したものが評価書には掲載されている。
いくつかの地点で、とても影響が小さいとは言えないのではないか、と思われる。
そこで、関電が参照したという「風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン」(環境省 2011)を読んだ。私たち素人には、すごく難解な文書である。
https://www.env.go.jp/press/13643.html
引用されているところは26ページにあるのだが、31ページには、これとは別に「スケール比・シルエット比」という、景観指標が解説されている。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/17236.pdf
スケール比とは、「構造物等の高さ/視点からの眺望の背景となる山稜の高さ」のことで、
「法高/背景の高さ が0.2~0.3を越えると『切り土面が背景に対して大きい』という評価が得られはじめ、法面底辺の高さ/背景の高さ=0.35~0.45を越えると不安定感が増すとされる」
もともと、この国立公園などでの送電鉄塔についてのガイドラインを風力発電にも応用したもので、標高300〜500mの尾根に120mの風車を建てることなど想定されていないものだが、それでも応用できる。この指標を応用すれば、景観への影響度をかなり数値化できるもので、フォトモンタージュを見る限り、素人目には0.2を超えるところもあるように見える。違和感を数値化しようとしたものなので、フォトモンタージュで違和感を持つものが高い数値を示すのは当然だ。
フォトモンタージュでは、背景の空の色に紛れてたり、写真ではそれほどでもないように思えても、現地に行ったことがある目で現地を想像してみると、フォトモンタージュで見るよりずっと違和感は強いように思う。
関電が何を根拠に景観への影響は小さいと評価したのかは、評価書を見る限り、まったく不明だ。関電が引用した「垂直見込角に応じた対象の見え方」(20ページ)でも「垂直見込角が1~2°を超えると景観的に気になり出す可能性があるとされる。」とあり、垂直視野角が1〜3°である地点で何をもって影響が小さいとする根拠は何も示されていない。
影響低減の方策として、「技術的ガイドライン」が示す対策をコピペしているが、それで低減できている根拠も示されていない。
「技術的ガイドライン」は、は、関係主体(有識者、地域住民、関係行政機関等)の合意形成を各段階で資料を示して行うことを繰り返すのうに求めている。環境影響評価書は、今後の説明・合意形成の基礎資料であり、ここで景観について、国のガイドラインにも沿っていないことは、今後、関電がその説明を付加して合意形成せねばならないことを意味する。
環境影響評価書を読む(2) 低周波音についての"印象操作"の姑息
大分臼杵風力発電合同会社(関西電力子会社)による、(仮称)大分・臼杵ウィンドファーム事業の環境影響評価書の騒音・低周波音について、大分県知事意見への対応は(1)でふれたが、住民の意見への回答のところに、まとまった記述がある。
ここに、ウソではないが、不正確で一面的な記述で"印象操作"をしようとする意図が見える。
末尾にリンクをはるが、「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書」の記述が引用されていて、
「風力発電施設の稼働に伴う低周波音の
うち可聴域以外のもの (超低周波音)については、 影響のおそれが少ないとの研究成果・調査実績があ」ると記述されている。「検討会報告書」をここしか引用しないのが、印象操作なのである。
まず、「検討会報告書」で言及されている知見はこの項目だけではない。他にも
・騒音レベルは低いが、より耳につきやすく、わずらわしさ(アノイアンス)につながる場合がある
・景観のような視覚的な要素や経済的利益に関する事項等も、わずらわしさ(アノイアンス)の度合いを左右する
といった知見が示されている。
また、「 風力発電施設から発生する超低周波音・低周波音と健康影響については、明らかな関連を示す知見は確認できなかった」とされているが、これは「わからない」という意味を含み、「影響がない」という断言は避けた表現である。
そして、「おそれが少ない」というのは、少ないがゼロではない、という意味だ。(1)でふれたところで、関電は騒音・低周波音の感じ方に個人差があることを認める記述をしている。確率として低くても稀にはあり得ることを「少ない」という語でごまかそうとしている。
「検討会報告書」の研究・調査の手法の問題点・疑問点はいくつも指摘できるが、それは別に譲りたい。そのような不十分な「報告書」ですら、歪曲して理解、引用して、文書ではまだ慎重な記述になっているが、これまでの説明会などでの口頭での説明では「風車から2kmのお宅では被害はない」と断定してみせるなど、公然と誤った説明をしてみせるのが、これまでの関電のやり方だった。
ここでいかに住民にちゃんと説明してきたかのような記述をしようが、関電にとっての不都合な事実は隠ぺいさせない、というのが私たちの思いである。
「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本
的考え方に関する検討会報告書」(環境省2019年3月)を参照してるとするが、同報告書に詳細な記述はなく、「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書」(環境省、2017年11月)による、としている。
「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本
的考え方に関する検討会報告書」
https://www.env.go.jp/press/files/jp/110948.pdf
「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会報告書」
https://www.env.go.jp/air/noise/wpg/01_161125_huusyasouon_report.pdf
概要資料
https://www.env.go.jp/air/noise/wpg/02_161125_huusyasouon_report_gaiyo.pdf
環境影響評価書を読む(1) 住民とのコミュケーション、低周波音、騒音
表面上の言葉だけなら何とでも言える?
大分県知事意見がかなり網羅的に問題点を指摘しているので、大分県意見への大分臼杵風力発電(関西電力子会社)の見解を紹介・コメントします。
https://my.ebook5.net/oitausuki/dai11syou/
関西電力は、風力発電計画に対し、反対意見や疑問を持つ住民に対し、大分県知事意見にある通りの対応をしてきました。
環境影響評価書では、それらに誠実に対応するとしているが、言葉だけなら何とでも言える、という不遜な態度にしか見えない。関電のあからさまに強引なやり方に接してきた私たちにとっては「どの口が言うか?」という言葉です。
大分県知事意見では、
「住民等から、騒音及び超低周波音、景観等の環境面や土砂災害の誘発等の災害面において、事業実施を不安視する意見や反対する意見が寄せられているだけでなく、事業者からの説明が十分に行われていないとの意見も寄せられている。」
「住民等及び関係両市と積極的にコミュニケーションを図り、それぞれが抱く不安や懸念等に対して誠実に対応することで、 本事業の実施に対する理解を得られるように努めること。」
と指摘されているのに対し、
事業者(関西電力子会社)は、
「住民等及び関係両市と積極的にコミュニケーションを図り、それぞれが抱く不安や懸念等の解消に向け誠実に対応し、本事業の実施に対する理解を得られるように努めます。」
と見解を述べています。
騒音、超低周波音について
関電は、
「騒音及び超低周波音については、聞こえ方等に個人差がある項目であることから、施設の稼働後、 適切に環境監視を行います。 また、その結果、騒音及び超低周波音による重大な環境影響が懸念される場合には、継続的な環境監視を必要に応じて実施し、調査結果の蓄積を図る
とともに、 ホームページ等による公開に努めます。」
と「模範回答」を示しています。
地域住民に対し、騒音や低周波音について、まともな説明も、具体的な対処を表明したことがなく、ここも「言葉だけなら何とでも言える?」という疑念を禁じえません。
騒音については、準備書への大分県や環境省の意見を踏まえて、国の経産大臣勧告では、準備書の予測で環境省指針値を超えることが指摘され、対応を求められていました。
関電は、測定データの再検討を行い、詳細を示し、結局、指針値を超えることがあることを認めています。
しかし、超えるのが1〜2デシベルとわずかであることを言い訳に、施設について追加対応をすることなく、環境監視と、問題発生時に適切に対処することを表明することでよしとしています。
ここで注意するべきは、指針値は、環境基準とは違って、法的拘束力はない、ということですが、それにしても施設への変更でなくデータの再検討ですましている、というのは驚きです。
10-113(457)ページより
環境影響評価書の準備書からの変更点
大分臼杵風力発電合同会社(関西電力子会社)による、風力発電事業の環境影響評価書の「第13章 準備書記載事項の修正の概要」のスクリーンショットです。
https://my.ebook5.net/oitausuki/dai13syou/
ここは、住民・大分県・国から、ここが不十分だと指摘されているところを修正している箇所を示しています。ここを読めは、自分の知りたいことが、評価書のどこに記述があるかがわかる、事項索引として使うといいと思います。
ここであたりをつけて、関心があるところを読むといいでしょう。
http://www.kanso.co.jp/environment/assessment/oitausuki/002.html